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  • Toshi Akashi

Issue 119: Digital Mindfulness - Part 1

今回のDigital Mindfulnessというレポートの1回目の紹介になります。長期に渡る新型コロナのパンデミックの影響で我々の日常生活にも大きな変化が現れつつあります。中でも様々な制限の中で健全な精神状態を維持することの重要性が再認識されてきています。


 

アニメ「鬼滅の刃」が空前の大ヒットをおこしています。昔から景気が悪くなり、人々の心が沈むと映画産業が盛り上がるという法則があり、今回のこのアニメの大ヒットもコロナ渦での現象だと分析する人もいます。私が興味深く感じたのは、このアニメに「全集中」や「呼吸」という言葉がキーワードとして繰り返し登場し、アニメを超えた様々な業界にまで広がっていることです。 https://fashionbox.tkj.jp/archives/1508334

この高度に集中した精神状態を過去のWebrain Reportでも解説したことがあります。もし高い集中力を自らの力でコントロールできるようになれば、さらに高い生産性を維持することができるのです。スポーツ選手の集中力の大切さは一般の方にも良く知られていますが、集中力が高まると、フィジカルコンタクトのある競技ではアドレナリンが大量に分泌されて、ケガの痛みを感じなかったり、私の好きなゴルフの世界でも「ゾーンに入る」という言葉で究極の集中状態を表現したりします。

アニメでは次々に現れる鬼(困難)に全集中の呼吸で対峙し、それを乗り越えるという姿勢は、コロナ渦の人々に大きな勇気を与えているような気がします。実際に戦っていなくても、様々な制限の中で業務を遂行し、社会や事業を維持しようと努力している人々から強い共感が得られているのではないでしょうか?

今回のデジタルマインドフルネスのレポートでは、最新の技術を使って健全な精神状態を維持する方法を紹介しています。その中でも私が特に注目したのが、Cognitive Behavior Therapy(CBT:認知行動療法)です。これは認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法の一種です。本来は資格を持ったセラピストと対面で行う治療法ですが、最近はデジタル技術の進歩によってリモートでの診療が可能になってきています。

例えば、7Cupsでは日々の悩みについて話を聞いてくれる人をマッチングするシステムを開発し、180名以上の専門セラピスト、30万人以上のトレーニングを受けたリスナーを擁し、現在2,500万人の利用者を抱えています。一方、Talkspaceでは専門のセラピストがスマホなどのデバイスを通じてプライベートなセラピーを提供するプラットフォームを提供しています。

このCBTの効果について、臨床心理学者でノースカロライナ大学チャペルヒル校の心理学教授でもあるJonathan S. Abramowitz博士は、「真の認知行動療法(CBT)とは様々なエビデンスに基づいた治療法であり、その背景には多くの科学や研究による事実が存在している。そして効果が図れるものである。」と述べています。 https://observer.com/2019/04/digital-cbt-rise-learn-to-live-big-health-mystrength/

コロナ渦で様々な屋外での活動や大勢が参加するイベントが制限される中、家の中で可能なエクササイズや習い事が注目を集めています。これを機会に皆さんもご自身の精神集中や禅の境地に興味を持たれては如何でしょうか?動がダメなら静を極める、今だからこそできる逆転の発想かもしれません。


 

<オンラインでCBTを提供するテクノロジー企業> 7 Cups (https://www.7cups.com/) 7 Cupsは、アクティブリスナーとして訓練を受けた32万人のボランティア(資格を持った人を含む)と、メンタルの問題に日々悩んでいる人たちをつなぐオンラインの支援プラットフォームである。同サービスは140の言語に対応している。 Talkspace (https://lp.talkspace.com/) Talkspaceは、スマホやタブレットを使用して、安全でプライベートな環境でライセンスを持ったセラピストと対話するためのプラットフォームを提供している。患者は、簡単に手ごろな価格でセラピストと話すことができる。セラピストとのコミュニケーションは、モバイルテキスト、音声、写真、動画を用いて行われるだけでなく、ライブビデオを介したリアルタイムのセッションを受けることもできる。

Learn to Live (https://www.learntolive.com/) Learn to Liveは、社会的な不安、うつ病、ストレス、不安障がい、不眠症に悩む患者を支援するためのオンラインCBTプログラムを開発している。このプログラムは特に、従来型の治療で効果が得られなかった患者を対象としている。 Mindstrong Health (https://mindstrong.com/) Mindstrong Healthでは、重度の精神疾患を持つ患者に24時間365日のメンタルヘルスケアを提供している。患者は、アプリ内のメッセージやビデオチャットを介して1回20分のセラピストや精神科医によるセッションを受けることができる。

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