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Hideya Tanaka

SW 197 - 2023年のSeattle Watch ハイライト

いつもSeattle Watchをお読みいただきありがとうございます。今回のSeattle Watchが2023年最後の発行となります。今年は、通常のリトリートトレーニングのほかに、米国で注目の新産業の視察や注目のスタートアップのアントレプレナー達との対話の拡大など、昨年よりも多く皆さまと直接お会いすることができました。年末にスタートしたSales Bootcampといった新しいプログラムのほかに、今後はインドやタイと連携したプログラムも始動できればと思っています。来年も皆さまに、よりアクショナブルで洗練されたビジネスインテリジェンスと、そのためのトレーニングプログラムをお届けできるように努めていきたいと思います。


 

今回は2023年にお送りしたSeattle Watchのハイライトを通じて、今年どのようなビジネストレンドやテクノロジーが台頭してきたかについて振り返りをしたいと思います。なお、タイトルリンクから各記事の全文をご覧いただけますので、もし見逃した記事があればご確認ください。また、後半には2024年のトレンド予測もいくつか紹介しております。


特に関心が高かった記事TOP5


World Economic Forum、Accenture、McKinseyなどの機関が発表するようなテクノロジーの進化やトレンドを追いかけることは重要です。しかし、テクノロジーが指数関数的に進化を遂げて、長期スパンでの予測が難しくなっている時代においては、結局は自らの志や意思、自分にとっての内的な拠り所である「真・善・美」とは一体何なのかを常に内省して、それらを社会や技術の変化に照らし合わせながら、企業のあり姿を描くアート思考のようなものがますます求められているように感じます。


再生エネルギー投資が活発化する中で、エネルギー生産の「聖杯」(holy grail)とも呼ばれる核融合発電が注目を集めています。ワシントン大学やパシフィックノースウェスト国立研究所などのアカデミアとそれを商用化するアントレプレナーマインドをもった起業家が多く集まるシアトル周辺には、Helion EnergyやZap Energyのような核融合スタートアップが生まれており、新しい再生エネルギーのエコシステムが形成されつつあります。


量子コンピューターの開発や実用化に向けた動きが活発化しています。量子コンピューターが本格的に普及した場合には、創薬、電池開発、銀行業務の効率化、天気予測、言語処理、サプライチェーンの最適化、機密データの保護など、さまざまな分野で大きな影響が見込まれます。半導体産業におけるムーアの法則のように、量子コンピューターの技術進化も、指数関数的に成長しているため、ビジネス機会を逃さないように常に注視しておく必要がありそうです。


Webrainでは「Performance Technology: Working in the Flow State」というタイトルで人間のフロー状態(Flow State)についてまとめています。フロー状態とは、目の前のタスクに集中し、あらゆる雑念が取り除かれたような感覚で、この状態に入ると生産性も高まります。近年では、Flow Research CollectiveやFlow Labといった機関が研究を行ったり、フロー状態に確実かつ効果的に入るためのトレーニングツールや方法論を開発したりしています。今後は、トップアスリートがゾーン状態に入るように、ビジネスパーソンがフロー状態に入り高い生産性を実現することがニューノーマルになるかもしれません。


Webrainでは、「Human-centric Home Technology」のテーマで人間中心のホームテクノロジーについてレポートをまとめています。自宅で過ごす時間が以前よりはるかに長くなる中で、屋内環境の快適性やウェルビーイングを向上させるホームテクノロジーへのニーズが高まっています。例えば、ウェルネス不動産という市場が台頭し、The CollectiveやBungalowのようなコ・リビング(Co-Living)を提供するスタートアップが成長しています。また、室温、照度、空気質、騒音レベルなどの物理的な環境を最適化することで、住居の快適性を高めるためのテクノロジーを提供するスタートアップも増えてきています。


2024年のトレンド予測


2023年は、OpenAI社のChatGPTを初めとする生成AI(Gen AI)が大きなトレンドになりましたが、来年もAI関連のトレンドは続くと予測されています。ただし、実用化のフェーズに向かうにつれて、Gartnerが提唱するようなAI TRiSM (AI Trust, Risk and Security Managementの頭文字をとった言葉で、信頼性・リスク・セキュリティ管理の観点から、AIの活用を最適化するための枠組み)のような仕組みづくりが大きな議論を呼びそうです。


また、同社が2024年の戦略的テクノロジーのトップトレンドの1つに上げている「マシン・カスタマー(Machine Customer)」も興味深い動きと言えます。マシン・カスタマーは、顧客ボットとも呼ばれ、支払いと引き換えにモノやサービスを自律的に交渉・購入する人間以外の経済主体です。Gartnerでは、2028年までに、顧客として行動する可能性のあるコネクテッド・プロダクトが150億個生まれて来ると予想しており、マーケターやセールスパーソンにとっては大きな転換点になるかもしれません。


Seattle Watchを読んだ感想やコメント、さらにこれについて詳しく知りたいなどのリクエストがあれば随時こちらのメールにお送りください。2024年も皆さまにとって素晴らしい一年になりますことをWebrainチーム一同願っております。それでは、少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。


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